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ペンローズ・タイリング P3

ロビンソン三角形を黄金比で割る操作を繰り返すと、太い菱形と細い菱形の枚数の比は、回数を重ねるごとに下から黄金比へ近づいていく。2種類のタイルで平面を埋めても、配置は周期的に繰り返さない。

ペンローズ・タイリング P3。藍と生成りの2色の菱形が5回対称の円形に広がる

なにか

太い菱形と細い菱形の2種類のタイルで平面を隙間なく埋められるのに、どこまで広げても同じ配置が周期的に繰り返されない。こうした並べ方を非周期タイリングと呼び、この形は1974年に数学者ロジャー・ペンローズが見つけた。全体は5回対称で、2種類のタイルの枚数比は、広げるほど黄金比(約 1.618)に近づく。

身近な話では1997年、キムバリー・クラーク社のトイレットペーパーのエンボス(型押し)にこの模様が使われ、ペンローズ本人と特許管理会社が訴えたことがある。争いは法廷の外で和解し、ロンドンの科学博物館がこの年の 4 巻入りの包みを収蔵している。Brian Hayes は 2017 年のブログで、模様が繰り返さないので巻いた層の凹凸が重ならず、紙がくっつきにくくなると最初に考えた。そのうえで、同じ記事の後半で誤りだと認めている。巻紙はアルキメデスのらせんで、層ごとに周長が伸びる。周期のある模様でも、重なるのは周長が周期の整数倍になる層だけである。しかも型押しのローラーは有限の円筒なので、紙の上の模様は結局くり返している。会社がこの模様を選んだ理由は、科学博物館の収蔵品の説明と Hayes の記事には書かれていなかった。数学の模様が日用品に使われ、法廷で争われた例である。

どう作ったか

菱形を半分にした「ロビンソン三角形」を黄金比で分割する置換規則(deflation)を7回繰り返して作った。枚数は理論の漸化式と一致し、2種類の枚数比は回数を重ねるほど黄金比に近づいた。

自分で動かす

下の絵は、ページを開いたその場で上の図と同じ計算をしている。置換の回数を 0 から 8 へ動かすと、10 枚の三角形の輪が 15,970 枚まで細かくなっていく。「前の段の輪郭を重ねる」を入れると、1 枚の三角形がどう割れて次の段になるかが見える。

三角形の枚数(細/太)
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漸化式 r′=r+b, b′=r+2b との一致
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太/細の枚数比
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黄金比 φ との差
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スライダーで決めた置換回数のペンローズ・タイリング P3

枚数比は 1、1.5、1.6、1.615 と下から一方向に φ = 1.6180 へ近づく(フィボナッチ数の比を、ひとつ飛ばしに並べた列)。枚数は毎回、数えた値と漸化式の値を並べて表示する。置換 0 回の輪は太い三角形が 0 枚なので、比は出せない。上の図は置換 7 回(三角形 6,100 枚)である。

出典

数理
R. Penrose, "The role of aesthetics in pure and applied mathematical research" (1974)
身近
トイレットペーパーの件は Science Museum Group の収蔵品 1997-2095「Pack of four rolls quilted toilet paper with Penrose tiling」の説明(Kimberly-Clark 製・1997 年・同年 4 月に提訴・法廷外で和解)と、B. Hayes, "Sir Roger Penrose's Toilet Paper", bit-player(2017-12-24)を読んだ。凹凸が重ならないという説明とその撤回は Hayes の記事による
生成
generators/penrose.js(置換7回・三角形 6,100 枚)