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カフェウォール錯視

黒と白のタイルを半分ずつずらして積んだ壁と、目地の色だけを白に替えた壁を並べた。

黒と白のタイルを半分ずつずらして積んだ壁。灰色の目地がくさび形に傾いて見える
目地(灰色の線)はすべて厳密に水平である。それでも、行ごとに互い違いのくさび形に傾いて見える

なにか

イギリス・ブリストルのカフェの外壁タイルで見つかった錯視で、それで「カフェウォール」と呼ばれる。黒と白のタイルを半タイルずつずらして積み、間に灰色の目地を通すだけで、水平な目地が交互に傾いて見える。このギャラリーの作品はふつう、見えている性質が本当にあるかを確かめてきたが、この作品では向きが逆になる。確かめたのは「実物はまっすぐ」の側で、傾きの出どころは紙の上ではなく、あなたの視覚系の中にある。

Gregory と Heard(1979)は、この錯視が成り立つのに必要な条件を突き止めた。目地の明るさがタイルの黒と白の中間にあることである。目地を白や黒にすると錯視は消える。2 人は、明るさの違う隣り合った領域は共通の境目で位置をそろえられていて(border locking)、中間の明るさの細い隙間をはさむとそのそろえ方が狂い、輪郭がずれると説明した。

対照実験。目地を白にすると消える

同じタイル配置で目地を白にした対照版。傾きが感じられない
タイルの配置は上とまったく同じで、目地の色だけを白(タイルの白と同じ)に変えた。傾きが消える

かけ算作品で使ってきた「片親に戻す」対照実験(見取り図・発見8)を錯視にも適用した。幾何は1ミリも変えず、目地の輝度という1変数だけを動かすと錯視が消える。傾きを生んでいるのが幾何ではなく輝度の処理であることの、いちばん簡単な証拠になる。

どう作ったか

目地はどの行でも厳密に水平で、行の高さは等間隔に並べ、行のずれはちょうど半タイルにした。タイルの白と黒は正確に交互で、傾いた線分は図のどこにもない。目地の相対輝度は 0.263 で、タイルの黒 0.023 と白 0.890 のあいだに入る。これが Gregory と Heard の条件にあたる。対照の図では、目地の色をタイルの白と同じにした。

→ フレーザーの偽螺旋(同じく、見え方ではなく実物の形を確かめた作品)

→ 見取り図の発見11(パターンの一部は目の中で完成する)

出典

数理
R. L. Gregory & P. Heard, "Border locking and the Café Wall illusion", Perception 8 (1979) 365–380(著者のサイト richardgregory.org の再録で要旨と序論を読んだ)。原型はブリストルの St Michael's Hill のカフェのタイル壁で、研究室にいた Steve Simpson が気づいた(論文の 1.1 節。Gregory 1973 で先に触れている)
生成
generators/cafewall.js(タイル124×62・目地6px・半タイルずらし)