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フレーザーの偽螺旋 — たどれば円、見れば渦

市松の背景の上に白黒のねじれひもで描かれた同心円。渦巻きに見える
描かれているのは厳密な同心円6本。円周に沿って接線から17°傾けた白黒の短い帯(ねじれひも)を並べ、市松の背景を敷くと、渦巻きに落ち込んで見える

なにか

James Fraser が1908年に発表した「方向の錯視」。ロープのように白黒がねじれた「ひも」で円を描くと、ひもの局所的な傾きが円全体の向きに合算されて、閉じた円が内へ落ち込む螺旋に見える。指でひもを一周なぞると出発点に戻ってくるのに、目はどうしても渦巻きだと主張する——局所の証拠(傾いた短い帯)と大域の事実(閉じた円)が食い違うとき、視覚は局所を信じるという実験。

数理の遊びをひとつ。もし目の言い分どおり、帯の傾き β=17° を本当の進行方向としてたどったら、軌跡は dr = tan(β)·r·dφ を満たす対数螺旋になり、1周ごとに半径が e2π·tanβ ≈ 6.8倍に膨らむはず。実物の半径ドリフトは 10⁻¹³——目は「1周で6.8倍」と「ぴったり1倍」を区別できていない。

どう作ったか

機械検査は4件: ひもの全セグメント中心が厳密に同一半径(ドリフト 10⁻¹³)=閉じた円であって螺旋ではない・セグメントの角度が正確に等間隔で一周を閉じる・傾き β は全セグメントで一定(錯視の駆動源が1変数であること)・隣り合う円はひもの太さより離れていて決して触れない。カフェウォールと同じく、検査が証明するのは「見えているもの」ではなく「実物」のほう。

→ 対数螺旋(目が見せようとしている「本物の螺旋」はこちら)

→ 見取り図の発見11(パターンの一部は目の中で完成する)

出典

数理
J. Fraser, "A new visual illusion of direction", British Journal of Psychology 2 (1908)
生成
generators/fraser.js(同心円6本・各44セグメント・β=17°・市松の帯は半セクターずらし)