← ギャラリーへ

DLA — 雷が枝分かれする理由

中心から四方八方へ枝分かれする樹枝状のクラスタ。中心は藍色、枝先ほど赤い
粒子3,000個。色は凍りついた順番(藍=古い・赤=新しい)。枝の先端ばかりが伸び、内側の隙間は永遠に埋まらない

なにか

規則はひとつだけ。「ふらふらとランダムに歩く粒子が、凍りついた仲間に触れたら、そこで凍りつく」。これを繰り返すと、狙ってもいないのに雷そっくりの樹枝が生える。枝分かれのからくりは意地悪で、外からやって来る粒子はまず枝の先端にぶつかるので、先端ほど成長が速く、いったんできた窪みには粒子がほとんど届かない。伸びた枝が自分の影で内側を飢えさせる——雷の枝、電池の中で育つデンドライト、窓の霜、菌のコロニーがみな似た形なのは、どれも「先端が資源を独り占めする成長」だから。

できあがる形は線(1次元)でも面(2次元)でもない中間の存在で、フラクタル次元はおよそ1.71。この実装でも質量-半径法で D=1.68 が実測できる。ギャラリー初の「確率で生まれる模様」——ただし乱数は再現可能な擬似乱数なので、同じ種からは何度でも同じ雷が生える。

どう作ったか

格子の中央に種を置き、クラスタ半径のすぐ外から粒子を放って4方向ランダムウォーク、隣に仲間が来たら固定。遠くへ逃げた粒子は円周へ戻して時間を節約する。機械検査は7件: フラクタル次元が1.5〜1.9(質量-半径法の最小二乗フィット)・全粒子が種から連結・二重付着なし・同シード完全再現・格子に収まる、など。「成長中の最大半径で次元を測ると跳びのせいで2を超えて見える」という測定の罠を踏んだので、最終クラスタの N(r)∝r^D で測っている。

→ チューリング・パターン(決定論の模様形成と対照)

→ 見取り図(「確率の棚」はこの作品で開いた)

出典

数理
T. A. Witten & L. M. Sander, "Diffusion-Limited Aggregation, a Kinetic Critical Phenomenon", Phys. Rev. Lett. 47, 1400 (1981)
生成
generators/dla.js(格子DLA・粒子3,000・シード固定)