ジャイロイド
式1本で近似したジャイロイドを網目にして、回せる立体にした。スライダーで壁の位置をずらすと、2つの迷路の大きさの比が変わる。
ドラッグで回転できます
2つの迷路の体積比 (c=0 でちょうど半々)
なにか
1枚のつながった曲面が空間を2つの迷路に切り分けている。どちらの迷路も行き止まりがなく、しかも2つの迷路は合同である。この曲面がジャイロイドである。NASA の研究者アラン・シェーンが1970年に発見した「三重周期極小曲面」のひとつで、極小とはシャボン膜と同じく平均曲率がゼロ、つまりどの点でも膜が釣り合っていることを指す。鏡映対称面も直線も一切含まず、すべてが螺旋状によじれているのが名前(gyro=回る)の由来である。
身近には2か所に隠れている。ひとつは、ミドリシジミなど蝶の翅の鱗粉の内部である。キチン質がジャイロイド構造に並び、色素なしで緑色に光る(構造色)。もうひとつは 3D プリンタで、スライサーの充填パターン「gyroid infill」は、全方向に均等に強く、どこにも平らな弱い面がないこの曲面の性質をそのまま使っている。
どう作ったか
曲面はノーダル近似 sin x cos y + sin y cos z + sin z cos x = 0 で描いた。真のジャイロイドを式1本で近似したものである。網目にするマーチング・テトラヘドラ法は自分で書いた。立方体を6つの四面体に割り、符号が変わる辺の上で補間する。この式は3方向に厳密に周期的で、奇関数なので2つの迷路は点対称で合同になり、体積はちょうど半々に分かれる。平均曲率は、測り方を単位球で校正してから曲面上の 200 点で測り、最大でも |H|=0.033 だった。立方体の一辺 2π に対して、曲率半径は 30 以上ある。オイラー標数は χ=−8 で、種数3の基本セル2個分にあたる。
出典
- 数理
- A. H. Schoen, "Infinite periodic minimal surfaces without self-intersections", NASA TN D-5541 (1970)。ノーダル近似は von Schnering & Nesper (1991) ほか。蝶の翅の構造色は Michielsen & Stavenga, J. R. Soc. Interface (2008)
- 生成
- gallery/assets/gyroid3d.js(マーチング・テトラヘドラ自作・依存ゼロ)