← ギャラリーへ

双曲タイリング {7,3} — レタスの縁の世界地図

円板の中を正七角形が埋め尽くし、縁へ行くほど小さく見えるポアンカレ円板のタイリング
正七角形を各頂点に3枚ずつ、617枚。縁ほど小さく見えるのは地図の歪みで、双曲世界では全タイルが同じ大きさ(全617枚で辺の双曲長と内角和の一致を機械検査)

なにか

レタスの縁やサンゴのフリルは、なぜあんなに波打つのか。縁が内側より速く育つと、増えた長さは平面に収まりきらず、面は波打つしかない——これが負の曲率の世界(双曲平面)で、そこでは円周が半径に対して指数関数的に増えていく。無限に広がるその世界を1枚の円板に押し込んだ地図がポアンカレ円板。縁へ行くほどタイルが小さく見えるが、それは地図の歪みで、住人にとってはどのタイルも同じ大きさだ。

この地図の上でなら、平面では絶対に不可能な敷き詰めができる。正七角形を各頂点に3枚——平面では角度が余って破綻する組み合わせ(128.6°×3>360°)が、負曲率で多角形が「痩せる」ことでちょうど120°×3=360°に収まる。エッシャーの「円の極限」シリーズはこの幾何で描かれている。平面の敷き詰め(ハニカム・Hat)とは別の宇宙のタイリング。

どう作ったか

中心の正七角形(外接半径は直角双曲三角形の関係 cosh d = cot(π/7)·cot(π/3) から)を、辺の測地線=単位円に直交する円での反転で複製していく。機械検査は7件: 反転が双曲距離を保つ等長写像・全617枚で辺の双曲長が一致・全タイルの内角和が7×120°(Gauss-Bonnet=双曲面積π/3が一定)・どの頂点にもちょうど3枚(重なりなし)、など。実装の罠を2つ踏んだ: 外接半径の公式の取り違え(全タイルが同じだけずれるので単体では気づけず、内角和の検査が捕まえた)と、JavaScript の「−0」が toFixed で "-0.00000" になり重複排除をすり抜ける罠。

→ ハニカム(曲率ゼロの世界の正解)

→ 見取り図(「負の曲率」の棚はこの作品で開いた)

出典

数理
ポアンカレ円板モデルと正則タイリング {p,q}((p−2)(q−2)>4 で双曲)。レタス縁と負曲率の対応は Nechaev–Voituriez (2001) ほかで研究がある古典的観察
生成
generators/hyperbolic.js(測地線反転のBFS・深さ5・617枚)