Spectre 織り — 縁をデザイン変数にする
なにか
Spectre タイルの縁の曲線は、原論文が「交互にふくらめば何でもよい」と明言しているデザイン変数だ。ならば、どこまで自由なのか——条件を式にすると、縁の上の点を P(t)=a+v·x(t)+n·σ·y(t) と書いたとき、x(1−t)=1−x(t)(進みが点対称)かつ y(1−t)=y(t)(ふくらみが線対称)でありさえすればよい。この2式を守る限り、どんな波でも隣のタイルと完璧に噛み合う。つまり Spectre は「非周期という構造」と「縁という意匠」が完全に分離したタイルで、テキスタイルの繰り返し模様(なのに決して繰り返さない)として使える。これはその試作第1号。
おまけの定理がひとつ。縁の波は1辺あたり面積を −2A/3π だけ動かすのに、14辺が7山7谷で交互だから、タイル1枚ごとの面積は厳密に元のまま。布にしたとき、どの色の生地も密度が同じになる。
どう作ったか
置換系は第12作 Spectre のコードをそのまま使い、縁の描画だけを差し替えた。切り出しはパッチ重心の窓で、窓が隙間なく覆われていることも検査している。機械検査は7件: 噛み合い条件の2式・隣接タイルの意匠化した縁が実際に一致(内部辺50本×25点で誤差10⁻¹⁴)・輪郭の自己交差なし・1辺の面積変化が非ゼロなのに1枚ごとに厳密相殺・窓の完全被覆・SVG実物。
出典
- 数理
- Smith, Myers, Kaplan, Goodman-Strauss, "A chiral aperiodic monotile", arXiv:2305.17743 (2023)。縁の意匠(三つ山の波・配色)は本ギャラリーのオリジナル
- 生成
- generators/spectre-weave.js(A=0.26・辺あたり24サンプル・置換3回のパッチから切り出し)