← ギャラリーへ

Spectre 織り

Spectre タイルの縁を三つ山の波に差し替えて、布地見本を作った。

縁を三つ山の波に差し替えたSpectreタイルの布地見本。藍系3トーンと茜のアクセント
Spectre の縁を三つ山の波 y=A·sin(πt)cos(2πt) に差し替え、回転クラスで藍系3トーンに塗り分けた布地見本。茜は Mystic の相棒(奇数×30°回転の1枚)

なにか

Spectre タイルの縁の曲線は、原論文が「交互にふくらめば何でもよい」と明言しているデザイン変数だ。ならば、どこまで自由なのか。条件を式にすると、縁の上の点を P(t)=a+v·x(t)+n·σ·y(t) と書いたとき、x(1−t)=1−x(t)(進みが点対称)かつ y(1−t)=y(t)(ふくらみが線対称)でありさえすればよい。この2式を守る限り、どんな波でも隣のタイルと完璧に噛み合う。つまり Spectre は、非周期の構造と縁の意匠が完全に分離したタイルで、テキスタイルの繰り返し模様(なのに決して繰り返さない)として使える。この作品は、その試作の第1号である。

おまけの定理がひとつある。縁の波は1辺あたり面積を −2A/3π だけ動かすのに、14辺が7山7谷で交互だから、タイル1枚ごとの面積は厳密に元のまま。布にしたとき、どの色の生地も密度が同じになる。

どう作ったか

置換系は第12作 Spectre のコードをそのまま使い、縁の描画だけを差し替えた。切り出しはパッチ重心の窓で、窓が隙間なく覆われていることも確かめた。隣り合うタイルの意匠化した縁は、内部辺50本の25点ずつで誤差 10⁻¹⁴ の範囲で一致し、輪郭に自己交差はない。1辺あたりの面積の変化は 0 でないのに、1枚ごとに厳密に打ち消し合う。

→ Spectre タイル(構造の本体はこちら)

→ 見取り図(応用メモ「縁の意匠化」を実行に移した)

出典

数理
Smith, Myers, Kaplan, Goodman-Strauss, "A chiral aperiodic monotile", arXiv:2305.17743 (2023)。縁の意匠(三つ山の波・配色)は本ギャラリーのオリジナル
生成
generators/spectre-weave.js(A=0.26・辺あたり24サンプル・置換3回のパッチから切り出し)