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オートステレオグラム

小さな帽子を並べた壁紙に、大きな帽子を1枚隠した。

小さな帽子の形が壁紙のように並んだオートステレオグラム。平行法で見ると大きな帽子が浮かび上がる
小さな帽子(Hat タイル)の壁紙。平行法(画面の向こうの遠くを見るつもりで視線をゆるめ、隣どうしの帽子が二重像として重なったところで止める)で眺めると、大きな帽子が一段浮かび上がる

なにか

90年代に「マジック・アイ」の名で書店を席巻した単像立体画である。1枚の平面画像なのに、両目の視線を平行に泳がせると立体が浮かぶ。原理は壁紙錯視(同じ模様が等間隔に並んでいると、左右の目が「隣どうし」を同じものだと誤認して融像する)の応用で、繰り返しの間隔そのものが奥行きの符号になっていて、間隔が狭い場所ほど手前に見える。この作品では基本間隔 88px の帽子の壁紙に、間隔 77px の領域をひそませた。その領域の形は、収蔵品第1号の Hat タイルのシルエットで、帽子の壁紙に帽子が浮かぶ。

ランダムドットで両眼視差だけから形が浮かぶことを示したのは Julesz(1960)である。「奥行きの計算は、輪郭の認識より先に走る」ことの証明で、これが1枚絵のオートステレオグラムに発展した。1枚絵の作り方は Tyler と Clarke が 1979 年に作り、1990 年に論文にまとめている。奥行きは1画素も描かれていない。絵の中にあるのは間隔の列だけで、立体はあなたの視覚系が計算した答えである。

どう作ったか

各行でモチーフを左から置いていき、次の間隔を s = P − δ ×(その場所の深度)で決める(P=88, δ=11)。できあがった図からモチーフの位置を読み戻して間隔の列を作り、奥行きの形を復元すると、隠した帽子と 269 区間すべてで一致した(そのうち浮いた区間は 61)。間隔は 88px と 77px の2通りしかなく、どちらもモチーフの幅より広いので、モチーフどうしは重ならない。見えない人のために、答えを下に置いた。

ネタバレ: 隠れている形を見る
隠されている大きな帽子のシルエット
間隔77pxの領域が、浮かび上がる形になる。Hat タイル1枚のシルエットである

→ Hat タイル(隠し絵の正体・収蔵品第1号)

→ 見取り図の発見11(パターンの一部は目の中で完成する)

出典

数理
B. Julesz, "Binocular depth perception of computer-generated patterns", Bell System Technical Journal 39 (1960) 1125–1162 のランダムドット・ステレオグラム。1枚絵化は C. W. Tyler & M. B. Clarke, "The autostereogram", SPIE Vol. 1256 (1990) 182–196。1979 年に作ったことは Tyler 自身の解説 C. Tyler, "Autostereogram", Scholarpedia 9(4):9229 (2014) による。壁紙錯視の観察は D. Brewster (1844) に遡る(Tyler と Clarke の論文の引用による)
生成
generators/stereogram.js(基本間隔88px・浮上時77px・行送り39px・モチーフと隠し絵はどちらも HAT_OUTLINE)