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ペンローズの三角形 — 不可能は投影の核に隠れる

3本の角材が互いに直角に組み合わさっているように見える不可能図形
3D の直方体3本を等角投影しただけの絵(手描きの頂点はゼロ)。角はどこも局所的には正しいのに、全体としては作れない

なにか

「不可能の中でも最も純粋な形」と作者自身が呼んだ不可能図形。1958年、Lionel と Roger のペンローズ親子が発表した(息子ロジャーはペンローズ・タイリングと同じ人)。エッシャーはこれを見て「滝」を描いた。どの角を見ても2本の角材が正しく直角に接している——のに、3本まとめて作ることはできない。ホームセンターで角材を3本買ってきても、この形には絶対に組めない。

仕掛けを数値で言い当てられる。3本の角材を3Dで素直に置くと(x方向・y方向・z方向)、2つの継ぎ目は本当に接するが、最後の継ぎ目は (L−a)·(1,1,1) だけ離れている。ところが等角投影は方向 (1,1,1) を核に持つ——この方向の変位は絵に一切写らない。だから離れた2つの角材の端は、投影では8頂点すべてが厳密に一致する。「不可能」の正体は、投影の核にすっぽり隠れた変位だった。同じペンローズ親子の「無限階段」が、上がり続けるのに一周で戻ってくるのと同型の理屈(一周のずれ=コサイクルが視線方向を向いている)。

どう作ったか

直方体3本の3Dデータから面を投影して塗っただけ——2Dの頂点を1つも手で置いていない。描画順だけが「不可能」の演出で、最後にいちばん手前の角材の根元を描き直す(この隠面の輪は一方向に順序づけできない=図形の非向き付け性がそのまま描画コードに現れる)。機械検査は6件: 投影核が(1,1,1)・継ぎ目2つは3Dでも一致し最後の1つだけ3Dで11.7離れているのに投影8頂点が10⁻¹²で一致・一周のコサイクル≠0だが投影はゼロ・図は螺旋対称の不動点まわりで厳密に3回対称(10⁻¹⁵)・輪郭の空き領域がちょうど2つ(外側+三角形の穴)=トポロジー検査・SVG実物。

→ ペンローズ・タイリング P3(同じ作者のもうひとつの「平面の不思議」)

→ 見取り図の発見11(パターンの一部は目の中で完成する)

出典

数理
L. S. Penrose & R. Penrose, "Impossible objects: a special type of visual illusion", British Journal of Psychology 49 (1958)。原案は Oscar Reutersvärd (1934) が独立に先行。コホモロジーによる定式化は R. Penrose, "On the cohomology of impossible figures" (1992)
生成
generators/tribar.js(直方体 a=1.3, L=6.5・等角投影・面の描画順で隠面を制御)