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かけ算第23号|ボロノイ × 泡 × 乾燥亀裂 — 詰まり方の帳簿は、作り方で変わるか

同じ150個の種から、順に割る・同時に割る(ボロノイ)・釣り合いへ緩めるの3通りで作った網目を、セルの辺の数で塗り分けた図。弁柄が5辺以下、生成りが6辺、藍が7辺以上
同じ 150 個の種から3通りに割った網目を、辺の数で塗る(弁柄=5辺以下・生成り=6辺・藍=7辺以上・灰=外枠に触れる縁のセルで帳簿から外す)。平均はどれも 6 の帳簿だが、分散 μ₂ は 4.17/1.70/4.17

この作品の問い

乾燥亀裂と柱状節理の発見33は「接合の角度は材料でなく時間割が決める」だった——同じ種から①順に割る(泥・T字)②同時に割る(ボロノイ・Y字)③①を釣り合いへ緩める(玄武岩)の3通りで網を作ると、角度の分布は変わるのに、オイラーの帳簿(⟨辺⟩ = 6、角で数えれば 4)は同じだった。

平均が同じでも、分布隣どうしの相関は同じだろうか。セルの網目には古い経験則が2つある。

Lewis の法則(1928・キュウリの表皮): n 辺のセルの平均面積 A(n) は n に比例して増える。Aboav–Weaire の法則(1970/1974・セラミックの粒と): n 辺のセルの隣の平均辺数 m(n) は n·m(n) = (6 − a)n + b と直線に乗り、多い辺の隣には少ない辺のセルが来る。この2つを3通りの網に同じ物差しで当て、係数が作り方で動くかを見る。

帳簿の道具

網の面を全部拾い(亀裂の面歩きをそのまま使う)、面ごとに辺の数(接合点の数)・角の数(180° でない頂点)・面積・辺を共有する隣を集める。外枠に触れる縁のセルは切り取られているので帳簿から外す。

b は自由でない。Weaire の恒等式 Σ n·m(n) = Σ n² は、どんな網でも厳密に成り立つ(各セルの n が、その隣の数 n 回ぶん数えられるだけ)。だから直線なら (6 − a)⟨n⟩ + b = ⟨n²⟩、⟨n⟩ = 6 なら b = μ₂ + 6a(μ₂ は n の分散)。この式は自分で出し、3つの網で恒等式がずれ 0 で成り立つこと、当てはめた b が式と 1.5 以内で合うことを検査した。
★道具の答え合わせ: 三角格子の母点のボロノイ(蜂の巣)は内側 67 セルが全部 6 辺・μ₂ = 0 ちょうど。

★答え——作り方で動くのは分散と面積の帳簿。隣の相関は読めない

⟨n⟩分散 μ₂Lewis 傾きAboav–Weaire a
① 順に割る(泥・T字)5.714.170.340.76
② 同時に割る(ボロノイ)5.801.700.180.58
③ ①を釣り合いへ緩める5.714.17(①と厳密に同じ)0.500.76(①と厳密に同じ)

緩和は「つながりの帳簿」を1ビットも変えず、「面積の帳簿」だけを変える。③は①の接合点を動かしただけなので位相が同じ——辺の数の分布も、隣の辺数の多重集合も、μ₂ も a も厳密に一致する。それでも Lewis の傾きは 0.34 → 0.50 に動いた。釣り合いへ緩めると、面積は辺の多いセルへ寄る。の「辺の数だけで育つか縮むかが決まる」の静的な影である。

順に割る①はボロノイ②より辺の数の分散が 2.5 倍大きい(4.17 vs 1.70)。T字で割ると、あとから来た亀裂が既存のセルを 3〜4 辺の小片に切り、切られた側は 8〜14 辺の大きなセルとして残る。同時に割ると(ボロノイ)そういう偏りが出ない。Lewis の傾きも①のほうが大きい。

いっぽう Aboav–Weaire の a は、種と個数を振ると ①0.20〜1.03・②−0.11〜1.11・③0.16〜0.97 と重なる。100〜200 セルの網では、作り方の差が読めるほど a は安定しない。⚠️「a は作り方で変わる」とも「変わらない」とも、この規模では言えない。

何を「辺」と呼ぶか

左: Lewisの法則(辺の数に対する平均面積)を3つの網と、亀裂を角で数えたものの4系列で描いた図。右: Aboav–Weaireの法則(n×隣の平均辺数)の同じ4系列
左: Lewis(A(n)/⟨A⟩ vs n)。右: Aboav–Weaire(n·m(n) vs n・砂色の点線は相関なし m(n) = 6)。点線の系列は亀裂①を「角」で数えたもの

亀裂①の接合は T 字で、180° の側にも接合点がある。接合点で数えれば ⟨n⟩ = 5.7(6 の帳簿)、角で数えれば ⟨角⟩ = 4.07(4 の帳簿)——発見33 の「泥の四角と蜂の六角は同じ帳簿」がここでも出る。そして角で数えた Aboav–Weaire は R² = 0.999・a = 2.36 でいちばん強い直線に乗る。Lewis も Aboav–Weaire も、何を辺と呼ぶかで別の直線になる

どう作ったか

generators/cellbook.js。網は crack.js の3模型(growNetwork/voronoiCells/relax)を同じ種で回し、面は crack.js の traceFaces で拾う。当てはめはセル数で重みをつけた最小二乗(3 個未満の n は使わない)。⚠️ 有限の網なので内側の ⟨n⟩ は 6 を少し下回る(ボロノイを 2000 セルにすると 5.94 まで上がる)。⚠️ 大きい網(250 個)では緩和で辺が潰れて位相が少し変わることがあり、「厳密に同じ」は 150 個・種 7 で確かめたもの。

検査は 14 件。蜂の巣で μ₂ = 0、Weaire の恒等式のずれ 0、①と③の多重集合の厳密一致と Lewis の傾きの差、①と②の μ₂ の差、直線の R²、b = μ₂ + 6a との差、角で数えた帳簿、種と個数を振った幅(Lewis と μ₂ は分かれ a は重なる)、出荷SVG を機械検査している。

出典

数理
F. T. Lewis (1928) 表皮細胞の面積と辺数/D. A. Aboav (1970) セラミックの粒/D. Weaire (1974) 恒等式 Σ n·m(n) = Σ n²。⚠️ 実物の泡・泥・粒の測定とは突き合わせていない
ボロノイ図 × 泡の法則 × 乾燥亀裂と柱状節理(発見33・同じ種から3通り)
生成
generators/cellbook.js(cellbook.svg 3つの網・cellbook-laws.svg 2つの法則)