ひねった蜂の巣
蜂の巣格子を2枚ひねって重ね、浮かぶモアレ超格子を描いた。
なにか
かけ算の第8号である。モアレの「重ねてずらす」をハニカムにかけると、物性物理の最前線に着地する。2018年、炭素原子の蜂の巣シート(グラフェン)を2枚、約1.1°だけひねって重ねると超伝導が現れた。世に言うマジックアングルである。電子はモアレ超格子(周期 a/(2sin(θ/2))・1.1°なら元の格子の52倍)を「新しい結晶」として感じ、その中で振る舞いを一変させる。網戸2枚のあの縞と、超伝導の舞台は、同じ1本の式で書ける。
角度には2種類ある。ひとつは可換な角で、格子ベクトル (1,2) を (2,1) へ写す回転(cosθ=13/14・θ=21.79°)では、2層の格子点がちょうど 1/7 の密度でぴったり一致し、√7倍周期の完全な超格子(結晶学の Σ7)ができる。もうひとつの可換でない角では、一致点は原点ただ1つになる。2層は二度と噛み合わず、全体は準周期になる。分数と無理数の対立(見取り図・発見7)が、ここでは「角度が有理点か」という形で現れる。
もう1枚。可換角 Σ7
どう作ったか
可換角の回転は格子ベクトルから厳密に組み立てられ(cosθ=13/14、|sinθ|=3√3/14)、一致点は 4900 点中ちょうど 700 点、つまり厳密に 1/7 になる。最短の一致ベクトルのノルムの2乗は 7 で、周期は √7 倍である。一致点の集合は足し算で閉じていて、格子になっている。比べに置いた可換でない 17° では、一致点は原点だけになる。
出典
- 数理
- ツイスト2層格子の可換角(coincidence site lattice・Σ7)は結晶学の古典。マジックアングル超伝導は Y. Cao et al., Nature 556 (2018)。モアレ超格子周期の式は twisted bilayer graphene の標準結果
- 生成
- generators/moire-honeycomb.js(格子定数15px・θ=3.5°/可換角版は46px・θ=21.79°)