← ギャラリーへ

モアレ04

小さな帽子を敷き詰めた格子に、ピッチがわずかに違う穴あきスクリーンを重ねて、26 倍の帽子を浮かべた。

小さな帽子の格子に穴あきスクリーンを重ねたモアレ拡大鏡。中央に26倍の巨大な帽子が浮かぶ
小さな帽子(幅20px)をピッチ26pxで敷き詰め、ピッチ27.04pxの穴あきスクリーンを重ねた。各穴が帽子の少しずつ違う場所を見せ、全体として26倍の巨大な帽子が浮かぶ

なにか

モアレ連作の4枚目は、縞ではなく像を浮かべる。微小図形の格子(ピッチ p)の上に、わずかにピッチの違う穴あきスクリーン(p(1+ε))を重ねると、i 番目の穴が図形の (i·pε mod p) の位置を覗く。穴を並べて眺めれば、図形が (1+ε)/ε 倍に引き伸ばされて再生される。ε=1/25 なら 26 倍になる。レンズは1枚も使っていないのに、幾何学だけで拡大鏡になる。

この原理は財布の中にもある。ユーロ紙幣や各国パスポートの「傾けると模様が動く」帯(マイクロレンズ・アレイ)は、このモアレ拡大を使っている。微小印刷とレンズ格子のピッチ差が像を拡大し、傾き(=位相のずれ)が像を大きく走らせるので、コピー機では再現できない。スクリーンを少し動かすと巨大像が猛スピードで動くのも、同じ理由による(動きも 1/ε 倍される)。

どう作ったか

穴ごしに見える明暗を集めた像は、帽子を 26 倍に拡大した像と、2,500 個の穴すべてで一致する。25 個の穴はセルの中を p/25 ずつ等間隔に進み、26 個目でちょうど元の位置に戻る。これが ε=1/25 の離散版である。図形は収蔵品第1号の Hat で、オートステレオグラムに続いて、帽子の群れからまた帽子が現れる。

→ モアレ01(ずれの拡大鏡・こちらは像の拡大鏡)

→ Hat タイル(図形の正体)

出典

数理
モアレ拡大(moiré magnification)の幾何は M. C. Hutley et al., "The moiré magnifier" (1994)。紙幣のマイクロレンズ防偽(Motion 帯等)はこの応用
生成
generators/moire-magnifier.js(p=26・ε=1/25・穴12px・窓=巨大像1周期)