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πのらせん

円周率の桁を「1桁=36°×桁」の弧で刻むと、段差のあるらせんになる。桁は Machin の公式とスピゴット法の独立2経路で計算し、60桁の一致を確かめてから刻んだ。

円周率40桁をラチェットつきのらせんに刻んだ図。弧1つが1桁で、弧の角度は桁×36度
円周率の40桁を「1桁=36°×桁」の弧で刻んだ。段差(ラチェット)が桁の区切り、赤い点が小数点。32桁めの 0 は弧のない段差として現れる

2008年の麦畑のなぞなぞ

2008年6月1日、イングランドのウィルトシャー、Barbury Castle の麦畑に、段差のあるらせんが現れたと報告された。円を 36° ずつ 10 の扇に分け、段差のあいだに何個の扇が入るかを数えると 3・1・4・1・5・9・2・6・5・4 になる。退職した天体物理学者の Michael Reed がこれを円周率10桁の符号化だと解読し、最初の段差のあとの点が小数点の位置にあることも指摘した。10桁めの「4」は、次の桁を四捨五入した値になっている。

ここでは同じ符号化を自分の桁で再実装した。桁はどこから来たか。手打ちしない(定数は式から出す、はこのギャラリーの作法)。Machin の公式(1706・BigInt の固定小数)と、Rabinowitz と Wagon のスピゴット法(1995・整数配列だけ)という仕組みの違う2経路で計算し、60桁が完全一致することを確かめてから刻んだ。Math.PI とも15桁で一致する(第3の傍証)。

図形から桁が読み戻せる。「654」は四捨五入の証拠になる

刻んだ図形の側(弧の始角・終角)だけから桁を復号すると、40桁とも一致した(丸めの余地は 10⁻¹⁴)。模様が数を運んでいる。イモガイの貝殻が時間を記録し、ユークリッドリズムが互除法を記録するのと同じ向きの話である。

2008年の図形の10桁め「4」も自分の桁から確かめた: π = 3.141592653589 なので、切り捨てなら 3.141592653、四捨五入なら 3.141592654 になる。Reed も「最後の桁は 4 に切り上げてある」と書いている。刻んだ人は丸めまで正しくやっていた。

土台は蚊取り線香。「等間隔」の2つの顔

アルキメデスのらせんと巻きの間隔が一定であることを示す図。弧長の閉じた式と数値積分の一致も示す
ラチェットの土台はアルキメデスのらせん r = a + bθ。巻きの間隔はどこでも 2πb で一定=蚊取り線香。弧長は閉じた式とシンプソン数値積分が 10⁻¹³ で一致(独立2経路)

らせんの「等間隔」には2種類ある。巻きの間隔が一定なのがアルキメデスのらせん(蚊取り線香・レコードの溝・このπのらせん)、巻きの比が一定なのが対数らせん(オウムガイ・台風)である。前者は足し算の、後者は掛け算の自己反復で、見た目は似ても幾何は別物である。後者だけが持つ特権はジュリア集合の畑の骨格の話につながる。

どう作ったか

桁は Machin の公式を BigInt の固定小数で計算する方法と、整数の配列だけで回すスピゴット法の2通りで出し、60桁が一致することを確かめてから刻んだ。刻んだ図形の弧の角度だけから桁を読み戻し、40桁とも元に戻ることも確かめてある。弧長は閉じた式とシンプソンの数値積分の両方で出した。

→ 対数螺旋(もう1つの「等間隔」)

→ イモガイの貝殻(模様=記録)

→ ロープだけの作図(同じ畑の幾何)

出典

数理
J. Machin の公式 (1706) は π/4 = 4·arctan(1/5) − arctan(1/239) である。S. Rabinowitz & S. Wagon, A Spigot Algorithm for the Digits of π (1995)。アルキメデスのらせんの弧長には閉じた式がある
ミステリーサークルの扱い
日付・場所・解読は、Linda Moulton Howe の Earthfiles の記事(2008年6月10日更新・cropcirclearchives.co.uk に転載)に載った Michael Reed 自身のメールで読んだ(「10 の扇に分けたので、1 つの扇は 36°」「最後の桁は 4 に切り上げてある」)。Plus Magazine(ケンブリッジ大学・2008年7月1日)も「円は 36° ずつの 10 の扇に分かれている」「符号化された数は 3.141592654」と書いている。畑の図形の大きさは、記事によって直径 150 フィートと 300 フィートで食い違う。原図は測っていない。符号化の規則(36°×桁・ラチェット・小数点の印)だけを借り、図はこちらの40桁で引き直した。特定の畑の図案の複製ではない
生成
generators/pispiral.js(Machin・スピゴット・符号化と復号・弧長の2経路・図2枚。依存ゼロ)