ジュリア集合 — 「2乗して c を足す」だけの図形と、畑の渦の骨格
1991年の「ジュリア集合」
1991年、ストーンヘンジの近くの麦畑に、渦を巻いて円が151個並ぶ巨大図形が現れ、「ジュリア集合」と呼ばれた(⚠️経緯は伝聞)。ただし畑の図形の骨格はらせんに円を並べたもので、本物のジュリア集合とは別物である。ここでは両方を自分で作って並べ、それぞれの数理を測った。
本物の側の作り方は、このギャラリーでいちばん短い。z を2乗して c を足す。それを繰り返す。逃げれば外、逃げなければ中——それだけで左上の図形が出てくる(Julia 1918 / Fatou 1917)。図は厳密に180°回転対称で、これは (−z)² = z² だから初手で違いが消えるため——格子の全セルで検査した。
★つながるか塵になるかは、軌道1本が決める——そして見た目では分からない
平面の全部の点の運命が、たった1本の軌道(z = 0 の行き先)で決まる——これが Fatou–Julia の二分法である。判定は独立2経路で突き合わせた: ①軌道を回す(兎は10万手逃げず、3周期に厳密に落ちる)と②主カージオイドの式 |1−√(1−4c)| が 1 未満(式の内側から200点取ると軌道は全部有界、|c| が 2 を超える200点は3手以内に全部逃げた)。c = 0.66 の「塵」は解析の経路もある: 実軸上で毎手 c−1/4 = 0.41 以上ずつ増える(単調増加の不等式と実測が一致)。
⚠️見た目では分からない。渦の壁紙で有名な c = −0.7269 + 0.1889i を追うと、臨界軌道は430手めで逃げる——つまりあの渦は連結に見えて実は塵である(画面の解像度では区別がつかない)。「否定も肯定も軌道1本で機械的に確かめる」が効いた例。境界そのものは逆像反復(反発固定点から z → ±√(z−c))でも作れて、6000点の 99.75% がエスケープ時間で見た境界の2セル以内に乗った=同じ集合への独立2経路。
畑の骨格——円の鎖を全部接させられるのは対数らせんだけ
1991年の畑の図形の骨格は「らせんに沿って円を並べたもの」だった。円の鎖が全部同時に接するのは、隣の中心距離と半径の和が同じ比率 e^(bΔθ) で伸びる——つまり自己相似な対数らせんだけの特権である(対数螺旋の「回転=拡大」と同じ帳簿)。πのらせんのアルキメデス型で同じことをすると接し方が崩れる——対照まで含めて機械検査にした。似て見える2つのらせんが、円の鎖という「検査器」ではっきり分かれる。
どう作ったか
機械検査は18件: ①180°回転対称が全セルで厳密 ②★兎の臨界軌道は10万手有界・3周期に厳密に落ちる ③c = 0.66 は毎手 +0.41 以上の単調増加(不等式と実測)④カージオイドの式の内側200点が全部有界・|c|>2 の200点が3手以内に逃げる(判定の独立2経路)⑤反発固定点の残差 10⁻¹⁶・|f′|>1 ⑥★逆像反復6000点の99.75%が境界セルの2セル以内 ⑦⚠️渦で有名な c が430手で逃げる=塵 ⑧maxIter を4倍にしても「逃げない」セル数がほぼ動かない(解像度を振る作法)⑨★対数らせんの円の鎖: 接触残差 10⁻¹⁶・半径比が一定/対照のアルキメデスは 8% 崩れる ⑩箱数えの次元: ジュリアの境界 ≈1.25・らせんの曲線 ≈1.0(⚠️粗い物差し)⑪決まった乱数 ⑫出荷SVG3枚。
出典
- 数理
- G. Julia (1918), P. Fatou (1917–1920)。二分法(臨界軌道の有界性⟺連結)は Fatou–Julia の定理。主カージオイドの式・逆像反復・ドゥアディの兎(A. Douady に因む)は複素力学系の標準。⚠️定理は引用で、こちらが確かめたのは数値の帰結(有界性・周期・一致率)
- ミステリーサークルの扱い
- 1991年ストーンヘンジ脇の図形と「ジュリア集合」の呼び名は伝聞。畑の図形の図案は複製せず、骨格の数理(対数らせんの円の鎖)と本物のジュリア集合をこちらの図で引き直した。畑の図形はジュリア集合そのものではない、という区別ごと収蔵する
- 生成
- generators/julia.js(エスケープ時間・臨界軌道・カージオイド判定・反発固定点・逆像反復・境界セル・箱数え・らせんの円の鎖・図3枚。依存ゼロ・乱数は mulberry32。塗りは行の走りをまとめた path=セル1つずつ描くと数MBに太る)