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かけ算第45号|雷文を色の帯にしてトンネルへ巻く × 周辺ドリフトと扇の弧

巻いた雷文の帯は流れるか

第44号の雷文のトンネルを周辺ドリフトの模型にかけると、平均ではほとんど流れなかった。帯を黒・濃い灰・白・薄い灰の 4 段で塗り直すと流れが出て、その向きは巻き方で決まる。同じ雷文が、巻き方しだいで回り、吸い込まれ、湧き出す。

紺・くすんだ茜・生成・淡い山吹の帯で縁どった四角い渦が、中心へ細かくなりながら花びらのような渦を描いている。帯の色は線の片側ごとに変わる
雷文・その鏡像・回を 16 × 16 の升に置き、縦 48(升 3 つ)で 1 周する (1, 1) で巻いた。帯は縦の線なら +x の側、横の線なら +y の側から、紺・茜・生成・山吹の順に並ぶ。模型はこの絵が反時計回りに回ると予言する。

なにか

第44号を見て、周辺ドリフトも感じるという感想をもらった。第44号の帯は線に近い順に藍・茜・山吹・生成で、線を横切ると 生成 → 山吹 → 茜 → 藍 → 茜 → 山吹 → 生成 と鏡写しに並ぶ。周辺ドリフトの記事の模型は、明暗差の大きい縁ほど信号が早く出ると置いて、時空間の運動エネルギーの右向きと左向きの差で流れを測る。この模型では、鏡写しの並びの流れはちょうど 0 になる。

巻いた絵では、帯の幅が外ほど広がる。第44号のカードの巻き方 (1, 1) では、1 つの向きの帯が線の間隔 2 ぶん進むごとに e^0.0982 = 1.103 倍になる。並びは鏡写しのままでも、幅は鏡写しでなくなる。この非対称で模型の流れが 0 でなくなるかを確かめ、次に並びそのものを非対称にした。

今の配色はほとんど流れない

第44号の塗り方の升と明るさの表、1 次元の 3 つの測り方の表、巻いた絵の流れの表、4 段で塗り直した升と 4 色の見本、4 通りの巻き方の絵に流れの向きの矢印を重ねた図、式と測った向きの表
上から、第44号の塗り方、1 次元の測り方の比べ、巻いた絵そのものの流れ、4 段の塗り方、巻き方ごとの流れの向き、式と測った向きの表を並べた。

見立ては「帯の幅が外ほど広がる非対称だけでは、流れはほぼ 0」だった。明るさは周辺ドリフトの記事と同じく相対輝度から c(黒 −1・白 +1)に直し、藍 −0.938・茜 −0.690・山吹 −0.010・生成 0.874 になった。

最初に、伸ばした 1 周期を並べ直した帯で測った。模型を 1 次まで開いた閉じた形 Im(c₁·conj(d₁))/|c₁|²(d = c|c|)を 4 段の値で換算すると、カードの伸びで −7.36×10⁻⁴ になり、4 段・等幅の 0.0684 の 1.08% にあたる。標本を積んだ模型でも −7.62×10⁻⁴ だった。負は帯の狭い側、つまり中心の側へ流れる向きである。

ところが、この並べ直しは周期ごとに幅が縮み直す鋸歯を作る。本物の巻いた帯は、切り口の中でずっと伸び続ける。同じ窓(Hann・3 周期)で両方を切り、窓の置き場所を 400 通りずらして平均した。並べた帯は −3.37×10⁻⁴、伸び続ける帯は −5.09×10⁻⁶ で、4 段・等幅を同じ窓で切った 0.0479 の 0.011% だった。見立ては当たりで、並べた帯の 1% は鋸歯が作った非対称だった。伸び続ける帯でも、伸びを 0.39・0.8 まで大きくすると 1.44%・2.02% まで育つ。

次に、巻いた絵そのものを切った。点を 3,000 個まき、画面の横と縦の切り口の値を並べて、動径と接線に分けて平均した。(1, 1)・k = 4 では外向きに +1.04×10⁻³ ± 2.3×10⁻⁴ で、4 段で塗った絵の回転の 3.25% にあたる。(1, 0) では −1.4×10⁻⁴ ± 2.3×10⁻⁴ で 0 と区別できず、升を粗くした (1, 1)・k = 1 では +3.55×10⁻³ ± 2.1×10⁻⁴ まで強くなった。1 次元では中心へ向いたのに、2 次元では外へ向く。どこから来るか(帯の曲がりか、雷文の角か)は確かめていない。

この模型は明るさしか見ていない。茜と藍の色の対比は、模型の外にある。第44号で感じた流れが色の対比から来るのか、ここで見つけた小さな流れから来るのかは、この計算では分からない。

4 段で塗り直す

並びそのものを非対称にするため、帯を周辺ドリフトの 4 段で塗り直した。縦の線は +x の側、横の線は +y の側を表とし、表の近くを黒、表の遠くを濃い灰、裏の遠くを白、裏の近くを薄い灰にした。近いと遠いの境は線から 0.5 で、線の間隔 2 を 4 段が等幅に埋める。縦の線の帯を +x へ、横の線の帯を +y へ横切ると、どちらも 黒 → 濃い灰 → 白 → 薄い灰 と並ぶ。色味は第44号の藍・茜・生成・山吹から取り、明るさを周辺ドリフトの 4 段(灰は a = √2 − 1)に合わせた。

巻く写像は等角なので、模様の中の向き e は、画面ではどの場所でも動径から arg(e/α) だけ回った向きになる。縦の線の帯は e = 1、横の線の帯は e = i の向きに流れるので、2 つが同じ強さなら和は arg((1 + i)/α) を向く。(1, 1) では α = 1 − i で 90°、つまり回転になる。(1, −1) では 0° で外へ湧き出し、(0, 1) では 135° で中心へ吸い込まれる渦になる。

式を使わずに測った。点を 600 個まき、同じ窓で切り口の流れを測って平均した。(1, 1) は 92.7°、(2, 2) は 93.0°、(1, −1) は −3.9°、(0, 1) は 139.1° だった。(1, 0) は 43.8°(式 45°)、(1, 2) は 105.7°(式 108.4°)、(2, 1) は 68.0°(式 71.6°)になった。並びを逆に読んだ (1, 1) は −84.2°(式 −90°)である。式との差は最大 5.8° である。切り口を動径と接線に取り直すと、(1, 1) は 96.7° になった。差には、切り口の取り方の揺れと、上で見た伸びの効果が入っている。

絵は数学の座標と同じく上を y の正に描いたので、90° は画面でも反時計回りの回転になる。同じ雷文と同じ 4 色で、巻き方を変えるだけで回転・湧き出し・吸い込みを選べる。

→ 雷文を色の帯にしてトンネルへ巻く(巻き方と鏡)

→ 周辺ドリフトと扇の弧(潜時の模型と対向エネルギー)

→ オオウチ図形を 4 段の明るさで塗る(もう 1 つのかけ算)

どう作ったか

生成器は generators/fret-drift.js で、第44号の生成器(模様と巻き方)と周辺ドリフトの生成器(潜時の場と対向エネルギー)をそのまま読み込んだ。切り口の流れは、潜時の模型の応答に Hann 窓をかけて空間と時間でフーリエ変換し、右向きと左向きのエネルギーの差を全体で割って出した。切り口の長さは帯の間隔の 3 周期ぶん、64 点で、1 点を 4 点の平均にした。絵は 0.25 の升目を対角線で 4 つの三角形に割って塗り分けた。どの線がいちばん近いかの境は 45° の斜めで、三角形の辺にちょうど乗る。

確かめていないこと。人の目でこの絵が回って見えるか、吸い込まれて見えるかは確かめていない。模型は明るさだけを見ていて、茜と藍のような色の対比は扱っていない。第44号の配色を巻いた絵に残る外向きの小さな流れの出どころは確かめていない。点ごとの値は窓の置き場所で大きく振れ、平均の 10 倍を超えるので、平均だけを読んだ。潜時・時定数・窓の長さは周辺ドリフトの記事と同じ自分で置いた値で、生理の測定値とは比べていない。

出典

数理
潜時の模型と対向エネルギーは周辺ドリフトと扇の弧、巻き方 w = exp(sξ/α) は雷文を色の帯にしてトンネルへ巻く(その出典は de Smit・Lenstra 2003)の生成器をそのまま使った。巻いた流れの向き arg((1 + i)/α)、鋸歯と伸び続ける帯の比べ、窓をかけた切り口の測り方は自分で導き、数値で確かめた
親戚
雷文を色の帯にしてトンネルへ巻く・周辺ドリフトと扇の弧・オオウチ図形を 4 段の明るさで塗る・和柄を版画画廊の写し方で巻く
生成
generators/fret-drift.js(fret-drift.svg 4 段で塗って巻いた雷文・fret-drift-book.svg 帳簿)