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畑の円の面積比 — 音程が出てくるのは 3・4・6 角形だけ

正三角形・正方形・正六角形それぞれの内接円と外接円の入れ子。面積比は4、2、4/3で音程に対応する。下は3から12角形の比の棒グラフ
正n角形の外接円と内接円の面積比は 1/cos²(π/n)。n = 3 で 4(二重オクターブ)・n = 4 で 2(オクターブ)・n = 6 で 4/3(完全4度)——分数になるのはこの3つだけ

麦畑の輪を測った天文学者

ストーンヘンジの解読で知られる天文学者 G. S. Hawkins は、1980〜90年代のミステリーサークルの航空写真から円の直径を測り、面積比がダイアトニック(全音階)の音程比になっていると報告した(⚠️伝聞・原資料未読・畑の実測はこちらではしていない)。オカルトの話に聞こえるが、芯にあるのは検査できる幾何の問いである——入れ子の円は、どんな比を作れるのか?

正n角形を円に内接させ、その正n角形に円を内接させる。外の円と中の円の面積比は 1/cos²(π/n)。この値が分数(有理数)になるのは n = 3, 4, 6 だけで、値はちょうど 4, 2, 4/3——和音のモアレで並べた協和音程の、二重オクターブ・オクターブ・完全4度である。

★なぜその3つだけか——和柄の「17種」と同じ源

cos²(π/n) = (1 + cos(2π/n))/2 なので、比が分数になるかは cos(2π/n) が有理数かで決まる。そして cos が有理数の角度は驚くほど少ない——Niven の定理 (1956) により cos(2π/n) が有理数になるのは n = 1, 2, 3, 4, 6 だけ(値は −1, −1/2, 0, 1/2, 1)。

この {1, 2, 3, 4, 6} には見覚えがある。和柄の対称群で「平面の繰り返し模様に許される回転は 1, 2, 3, 4, 6 回だけ」だった(結晶学的制限)。あちらは 2cos(2π/n) が整数になる条件、こちらは cos(2π/n) が有理数になる条件——同じ cos の特別な値が、壁紙の17種と畑の音程を同時に縛っている。5回対称が壁紙に入れないことと、正五角形の円の比が音程にならないことは、同じ一行の帰結である(発見34)。

検査は3つの独立経路で: ①式 1/cos²(π/n) ②実際に多角形を作って外接・内接の半径を測る ③円ではなく多角形どうし(同じ円に外接する正n角形と内接する正n角形)の面積比——3つが n = 3〜24 で 10⁻¹² 以内に一致し、回転・拡大・平行移動でも動かない。n = 5, 7, …, 12 は分母 2000 まで探しても分数に 10⁻⁷ より近づかない(⚠️「無理数の証明」は Niven の定理の引用で、こちらの数値は傍証)。

5度 3/2 はこの装置からは出ない

出てくる分数は 4, 2, 4/3 の3つで尽きる——協和の王様である完全5度 3/2 は、この入れ子からは決して出ない。ダイアトニック比が「揃う」ように見えて、実は装置が作れる比は極端に限られている。畑の図形の比の報告を評価するときも、この「そもそも何が作れるか」が物差しになる。おまけに漸近も測った: n を大きくすると比は 1 + (π/n)² + O(n⁻⁴) で 1 に近づく——多角形が円に化けていく速さまで式のとおりだった。

どう作ったか

機械検査は10件: ①★3つの独立経路(式/作った多角形の実測/多角形どうしの面積比)が n = 3〜24 で一致(10⁻¹²)②n = 3, 4, 6 でちょうど 4, 2, 4/3(10⁻¹⁴)③それ以外の n は分母2000まで分数に届かない ④Niven の錨: cos(2π/n) が n = 1,2,3,4,6 で −1, −1/2, 0, 1/2, 1(10⁻¹⁵)⑤2cos(2π/n) が整数になる n も {1,2,3,4,6} だけ=結晶学的制限と同じ集合 ⑥出てくる分数が協和リストの部分集合(2/1 と 4/3 は epimoric 比)⑦回転・拡大・平行移動の不変性 ⑧漸近 1 + (π/n)² との差が n⁻⁴ の桁 ⑨比は n について単調減少 ⑩出荷SVG1枚。

→ 和音のモアレ(協和=模様の粗さ)

→ 和柄の対称群(回転は 1,2,3,4,6 だけ)

→ なぜ鍵盤は12個か(音程と分数)

→ ロープだけの作図(同じ畑の幾何)

出典

数理
正多角形の内接・外接の比は初等幾何。I. Niven, Irrational Numbers (1956) の定理: 有理数×π の角度で cos が有理数になるのは cos = 0, ±1/2, ±1 のみ。結晶学的制限は和柄の対称群と同じ Fedorov (1891) の系譜
Hawkins の報告の扱い
G. S. Hawkins が畑の図形にダイアトニック比を見出したという話は伝聞(1990年代の一般向け記事の紹介による・原資料未読・畑の実測はしていない)。こちらが検査したのは幾何の側——「入れ子の円が作れる比は 4, 2, 4/3 で尽きる」は自分の計算である
生成
generators/hawkins.js(3経路の面積比・有理数への距離・図1枚。依存ゼロ)