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スーパー楕円

楕円の式の指数 n を変えるだけで、菱形から楕円、角丸の長方形まで1つの曲線族になる。曲率が最大になる場所は n=2 を境に軸上から対角へ移る。

藍色の図形が5×5に並ぶ。横に指数nが0.7から7へ(星形・菱形・楕円・角丸・ほぼ長方形)、縦に縦横比が1から0.6へ変わる図鑑
|x/a|ⁿ + |y/b|ⁿ = 1 の図鑑。横に指数 n = 0.7, 1, 2, 3.5, 7、縦に縦横比 b/a = 1 → 0.6。器の縁のような相似の線を 2 本入れた

なにか

楕円の式 (x/a)² + (y/b)² = 1 の「2」を自由な n にした曲線族である。n = 1 で菱形、n = 2 で楕円、n を大きくすると角丸の長方形に近づき、n < 1 では内側にへこんで星形になる(n = 2/3 はアステロイド)。1818 年の Lamé の曲線である。原本(Examen des différentes méthodes employées pour résoudre les problèmes de géométrie)の目次に「xα:aα + yα:bα = 1 という式をもつ曲線と曲面についての定理、104 ページ」とあり、序文では著者自身がこの部分を「いちばん注意に値する」と書いている。指数が 2 を超えるものを「スーパー楕円」と名づけたのは Piet Hein で、ストックホルムの広場 Sergels torg に n = 2½・a/b = 6/5 の形が使われて広まった。テーブルや机にも使われている。

尖る場所は、円を境に「軸」から「対角」へ跳ぶ

n=2/3〜8の曲線の入れ子、曲率の分布のグラフ、軸のそばの曲率の両対数プロット
左=n = 2/3 〜 8 の曲線と面積/右=曲率 κ の分布(軸 0° → 対角 45° → 軸 90°)/下=軸のそば x = a − ε で κ を測った両対数

面積には閉じた式 A = 4ab·Γ(1+1/n)²/Γ(1+2/n) がある。Γ を Lanczos 近似で自前に書き(Γ(1/2)² = π・Γ(5) = 24 で答え合わせ)、数値積分と n = 0.5〜8 の 9 点で 1e-6 以内に一致させた(独立 2 経路)。n=2 で π、n=1 で 2、n=2/3 で 3π/8、n→∞ で 4 になる。周長も n=1 で 4√2・n=2 で 2π・n=2/3 で 6 に 1e-5 で一致した。Piet Hein の n = 2.5 は外接長方形の 84.5% を占める(楕円は 78.5%)。

曲率を第 1 象限で追うと面白いことが起きる。n = 2(円)では一様になる。n < 2 では曲率が最大になるのは軸の点(0°)、n > 2 では対角(45°)で、間の角度に止まることがない。n を連続に回しても、尖る場所は跳ぶ。理由は軸のそばの冪にある: x = a − ε で κ ∝ ε^{1−2/n}(両対数の傾きが n = 1.5, 2, 2.5, 4, 8 で式と 0.03 以内)。指数が n = 2 で 0 になり、その両側で軸の曲率は発散(n < 2)か 0(n > 2)へ振れる。n = 2.5 では軸の曲率が 0 になる。辺が平らで角だけ丸い、「長方形と楕円の間」の見え方はここから来る。

n < 1(へこむ側)は軸で接線が水平になる尖点で、上の冪の話の外になる。a:b = 6:5 にすると跳ぶ先は 45° でなく 33° になる(対角の位置が動く)。曲率は解析式と 3 点の外接円の 2 経路で 1e-5 以内に収まった。

Sergels torg の数値は Martin Gardner の Mathematical Carnival で確かめた。p.250 に「ストックホルムの中心部について、Piet Hein は n = 2½ と a/b = 6/5 という値を使った」とある。1959 年は形を置いた年ではない。p.241 は「1959 年にスウェーデンで持ち上がった、やっかいな都市計画の問題」が問いのきっかけだったと書いていて、1965 年の時点で中心部はまだ完成していない。指数が 2 を超える Lamé 曲線をこう呼んだのが Piet Hein だという点も p.243 にある。家具は Bruno Mathsson が机・テーブル・椅子・ベッドに使った(p.243)。

⚠️ 以前ここに書いていた「スマホのアイコンの角」は落とした。Apple 自身の言葉は「連続曲率(continuous curvature)」で、スーパー楕円とは言っていない(公式文書は JavaScript で組まれていて、こちらの道具では本文を読めなかった)。1024×1024 のマスク画像と重ねて画素の差を数えた実測では、スーパー楕円は n = 5.2 が最良でも 1,365 画素ずれ、ふつうの円弧の角丸(322 画素)のほうが近い。Apple の連続曲率の角丸だけが 0 画素で一致する。

→ ルーローの三角形(円でない丸さの、もうひとつの作り方)

→ 結晶のかたち(角が立つ/立たないの境目を別の物差しで)

→ 周転円で描く角(なめらかさの規則が係数に出る)

どう作ったか

生成器は generators/superellipse.js で、曲線は媒介変数 x = a·sgn(cos t)|cos t|^{2/n}、y = b·sgn(sin t)|sin t|^{2/n} で引いている。面積は Γ の閉じた式と数値積分の 2 通りで出し、曲率も解析式と 3 点の外接円の 2 通りで出して突き合わせた。Γ 関数は Lanczos 近似で自前に書き、既知の値で答え合わせをしてから使っている。

出典

数理
G. Lamé, Examen des différentes méthodes employées pour résoudre les problèmes de géométrie(Paris, 1818)=曲線族は第 36 節・104 ページから(archive.org のスキャンで目次と序文を確認。Gallica は人間確認で開けなかった)/M. Gardner, Mathematical Carnival(初出は Scientific American 1965 年 9 月号)=n = 2½ と a/b = 6/5 は p.250、1959 年という年と命名は p.241・p.243、家具は p.243。面積の Γ 公式は自分で数値積分と照合した
親戚
ルーローの三角形・結晶のかたち・周転円で描く角・カテナリー(式 1 本の曲線)
生成
generators/superellipse.js(superellipse.svg 5×5 の図鑑・superellipse-book.svg 曲線族と曲率)